音韻意識とは?発音と読み書きをつなぐ力をわかりやすく解説

ことばの発達について

発音が整ってきたら、同時に育てたい“音への気づき”

「さ行が言えるようになった!」「“らりるれろ”が言えた!」お子さんの発音が上手になってくると、成長を感じますよね。

でも実は、発音の練習と同じ時期に大切にしたいのが、“音を意識する力”=音韻意識(おんいんいしき)です。

音韻意識とは、ことばを「音のまとまり」として感じ取り、分けたり比べたりできる力のこと。 この力は発音の発達と並行して育ち、さらに「ひらがなを読む・書く」といった読み書きの基礎にも深く関係しています。

言語聴覚士としても、発音が整うころに音韻意識が育ってくるお子さんはとても多く見られます。今日は、この“音への気づき”がどのようにことばの力を支えているのかを、やさしく解説します。

音韻意識とは?身近なたとえで理解しよう

たとえば「ねこ」ということばを聞いたとき、それを「ね」と「こ」という2つの音に分けて考えられる力。これが音韻意識です。

発音がまだあいまいな時期の子どもは、ことばを「リズム」としてとらえていることが多いですが、少しずつ「音のかたまり」「音の順番」に意識が向くようになります。

発音の練習を通して音の違いを聞き分けたり、まねしたりする経験が、自然と音韻意識を伸ばしていくのです。

ここがポイント!
日本語は「モーラ(拍)」というリズムの単位でできています。たとえば「がっこう」は3音ではなく、「が・っ・こ・う」の4つの拍から構成されています。この“日本語特有の音のリズム”を感じ取る力が、音韻意識の発達にとても大切です。

音韻意識の発達段階と目安

音韻意識は、発音や語彙の発達と並行して少しずつ育っていきます。次のような段階をたどることが多いです。

年齢発達の目安できるようになること
3〜4歳音の長さやリズムに気づく「りんご」「バナナ」など長さの違いを感じる
4〜5歳ことばの最初や最後の音に注目できる「さかな」の“さ”の音に気づく
5〜6歳音を分けたり、入れ替えたりして遊べる「ねこ」→「けこ?」など音で遊ぶ
小1前後音と文字を結びつけて理解する「か=“か”」と結びつく

発音がはっきりしてくる4〜6歳ごろに、音韻意識もぐんと伸びていくことが多いです。この時期に“音に注目する遊び”を取り入れることで、自然に読み書きの準備が整っていきます。

発音と音韻意識、そして読み書きはどうつながっているの?

発音と音韻意識は、別々の力ではなく、お互いを支え合いながら発達する力です。

発音を覚えるとき、子どもは「音を聞き分ける」→「まねする」→「自分の音を調整する」という過程を繰り返しています。これはまさに、音に意識を向ける練習そのもの。

こうした経験が音韻意識を育て、音韻意識が高まることでさらに発音の正確さが増していくという、相互作用が起きています。

そのうえで、音と文字が結びつくと、読み書きの学びがスムーズになります。つまり、発音・音韻意識・読み書きは一本の線でつながっているのです。

つまずきやすいポイントと家庭でのサポート

音韻意識がまだ育っていない段階では、次のような混乱が見られることがあります。

  • 「っ」「ん」「ー」「きゃ」などの聞き分けが難しい
  • 似た音(さ/しゃ、し/ちなど)を混同する
  • ひらがな読みで音を飛ばす・順番を間違える

こうした場合、焦って「間違いを直す」よりも、“音に注目する時間”を増やすことがポイントです。

家庭でできる声かけの例

  • 「“りんご”の中に“ん”があるね」
  • 「“がっこう”って、“が・っ・こ・う”って4つの音だね」
  • 「“さ”で始まることば、他にあるかな?」

こんなやりとりで十分です。正解を求めるより、「音を意識する」「音で遊ぶ」経験を重ねることが、自然な成長につながります。

音韻意識が育つとどうなる?読み書きへの効果

音韻意識が育つと、音と文字の関係がわかりやすくなります。すると、「聞く」「話す」「読む」「書く」という言葉の流れ全体がスムーズになります。

この力がしっかりしている子どもは、

  • 新しいことばを覚えやすい
  • ひらがなの読み書きが自然にできる
  • 音の違いを理解して語彙が増える

逆に、音韻意識が未発達なままだと、

  • 似た音を聞き間違える
  • 書き取りで音を抜かしてしまう

まとめ:発音と音韻意識は、一緒に育っていく力

発音と音韻意識は、どちらが先というわけではなく、同じ時期に互いを支え合いながら発達していく力です。

発音を整える練習も、音韻意識を育てる活動も、どちらも「音を意識する」という点でつながっています。

おうちでは、「音を聞く」「まねする」「音で遊ぶ」といった小さな体験が、発音の正確さにも、読み書きの準備にも役立ちます。

次回予告

次回の記事では、家庭でできる「音韻意識を育てる遊び」や、親子で楽しめる音あそびすごろくの無料PDFもご紹介します。

日常の中で、ことばと音を一緒に楽しんでいきましょう♪

無料PDF(近日公開)!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました